海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

禁酒三ヶ月経過/カフェイン減量を始めた

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最近は外食でノンアルコールするときはオールフリー飲んでる。
これ、おいしい。安いし。ビール味の水って感じ。
ヨーグリーナってカルピス味の水ですよね。あれとおんなじような感覚。
ノンアル置いてる店はだいたいオールフリーだし、サントリーの営業がんばってるなあ。
ビールはキリン党だけど、ノンアルコールはサントリー派だな。


それからカフェインも、最近ダメになってきたような気がする。
物心ついた10歳くらいから、毎朝コーヒーをかかさず飲んでいたのに
近頃はブラックコーヒーをガブガブ飲むと、胸の動悸がするようになってきてしまった。
禁酒で体質が変わってきてるのだろうか?
コーヒーには素直に牛乳入れたり、昼以降はインスタントのカフェインレスコーヒー(※もともと冬の夜に飲んでた)に切り替えたりしている。



ビールもコーヒーも飲まない人生なんて、我ながら大丈夫か?ってたまに思うけど
もともと舌バカだから、こんなふうに偽物でごまかせばやっていけるっぽい。


イギリス史と、イギリス文学のファンダム(オタクワールド?)について

イギリス史10講 (岩波新書)

イギリス史10講 (岩波新書)

イギリス文学史入門 (英語・英米文学入門シリーズ)

イギリス文学史入門 (英語・英米文学入門シリーズ)


前々から、イギリス文学の体系的な知識が欲しいと思っていて、まずはとっかかりとして、この二冊を読んだ。ちゃんとノートも取って、時間軸に沿って見開き左ページに正史、右ページに文化史という形で、二冊を同時に読み進めていった。


特に詩人については、名前と年代が全然結びついてなくて、イエイツ、キーツ、ミルトン、テニスンバニヤンシェリー等、名前だけ知っててごっちゃになってる人が多かったので、歴史の中のどういう文脈に置かれていたか理解できた。ドライデン等、初めて知る名前もかなりあった。


ざっと読んで感じたことは:

  • イギリス文学の根っこはやはり演劇と詩。小説は近世に入ってから。
  • 特に私が好きなオースティン、ブロンテ姉妹、ウルフと言った作家たちは、文学史的にはどちらかというと傍流のようだ(時代を即反映したひとびとではない、という認識)
  • イギリス史自体、やはり18世紀以降がとても重い(ヴィクトリア女王の偉大さよ)それ以降は、単体の国から歴史を追うのは不可能で、やはりヨーロッパ全体の見取り図に照らしながら個別の事象を追う必要がある。
  • 20世紀は、上記の本だけでは足りないので、カバーが必要。ジョージ・オーウェル以降の20世紀イギリスはどうなっている?


演劇については、「シェイクスピアの正体」も面白かった。都市伝説で良く知られる、シェイクスピア別人説をミステリー調に解きほぐしていく。

シェイクスピアの正体 (新潮文庫)

シェイクスピアの正体 (新潮文庫)



あと、イギリス文学を取り巻くファンダムの形態(?)についてもう少し知りたいと思っている。


例えば。オースティンのファンのことを「ジェイナイト」と呼ぶ。彼らは熱心に集って、小説のコスプレをしているらしい。シャーロック・ホームズの熱狂的ファンも、やはり「シャーロキアン」と呼ばれて、彼らは劇中の細かい知識を問うテストをやってたりするらしい。最近だとハリー・ポッターのファンサイト「ポッターモア」の存在も面白い(あれは出版社側が主導してるようだけれど)


オタクがいちいち組織化されて、しかもそれが独自の世界を形成していく現象があるように見える。世界観にべったり入り込みたい、その中で遊びたい、といった欲望を感じる。


こういうファンダム(オタクワールド?)の作られ方は、あまり日本には見られないので興味深い。日本のオタク・コスプレ文化との差異について研究している人はいないだろうか。フリーメイソンのように、独特の階級社会だからこそ生まれるものなのか?謎だ。

イギリスオタクについて詳しい資料があったら知りたい。

自宅IMAXと、ノーラン祭り

IMAXが好きだ。

スクリーンも音もバカみたいに大きい。大きいことは正義である。

これまで、自分はIMAXで映画を観ることが好きだから、IMAXシアターに通っているのだと思っていた。

でもある時ふと思った、

IMAXの映画の前に流れるあの青いCGのイントロシーケンス。

あれが異常に好きなのである。

特にスピーカーの位置を示して音の臨場感を伝えるアナウンス
(「音がほら…ここから…そしてここからも…(♪ドゥンドゥドゥドゥーン♪)」てやつ)
が好きすぎて、映画の前にあの映像が流れるたびに、ニヤニヤして喜んでしまう。


私は、もしかして、IMAX映画そのものよりも、あれが好きでIMAXシアターに通っているのではないか???

そしてあの映像を流せば、どこでも雰囲気的になんとなく、IMAXシアターっぽくなるのではないか???


と思ったら、YouTubeに発見した。



IMAX intro 1080p full version



この映像を、自宅のTVのYouTubeで流してみた。


自宅がIMAXシアターになった。私、大歓喜

この映像の後にブルーレイで適当に映画を流すと、それっぽくなる。


ちなみにIMAX社公式(?)の映像はこれ↓で、
あのカウントダウンの映像は「Sonic Anthem」というらしい。
(日本語版のアナウンスはアップされていない模様…残念)

www.youtube.com


それから先週、品川と横浜でクリストファー・ノーラン祭りをやっているよ、とTwitterで教えてもらって、
IMAXで「インセプション」「インターステラー」を観てきた。いや良すぎた…。


やっぱり本物のIMAXは最高だし(あたりまえだ)、どちらの作品もすごかった。
特にインターステラーは3時間ずっと圧倒されていた。


ダンケルク」予告編もすごい緊張感。
映画好きの人がノーラン監督は良いって言ってる意味がやっとわかった気がする。
ダークナイトも観てみようと思う。


www.youtube.com

愛はどこにある


表題曲「FANTASY CLUB」を聴くと、高校生の頃、学校帰りの東京を、フラフラと当て所無く歩いたことを思い出す。

その時イヤホンから流れてたのはスーパーカーの「Futurama」だったかな?日が暮れてゆくまでの刹那の時間に、絡みつくように流れる電子音。あの頃と同じように私はいまも孤独で、ヘッドホンを付けたまま、昼と夜が往来するのをぼんやりと眺めている。


一聴して、「FANTASY CLUB」は、愛のアルバムだと思った。


「些細な愛で」「愛しあう」「きみにあいたいな」そんな素直なフレーズが耳に残る。声高に愛を要求することも、祝福を強制することもしない。ただ、温かい部屋に招かれて、カーテンが揺れるのを見ているような感覚。そんな風に、これまで聴いてきたtofubeatsのどの曲よりも、愛が横溢しているアルバムだと感じた。


でも、その愛はどこにあって、どうやって獲得すればよいのだろう。アルバム後半、「YUUKI」の優しいボーカルに包まれていた時、ふと、通過していったはずの言葉たちが再び去来した。


「わからない」「何もない」「気にしない」――――


くだらない言葉遊びとはわかっていても、私はそこに「愛」を見てしまう。発語された言葉たちの中、たったふたつの母音が―"A-I"―不安そうな目でこちらを見つめ返している。それを見逃さずにはおれない。


「わからない」と勇気を出して言ってみること。もし、もしもFANTASY CLUBが愛に満ちた優しい部屋であるのならば、その隣にはきっと、幾つものためらいの残滓が転がっているはずなのだ。

J.S.ミル『女性の解放』

女性の解放 (岩波文庫 白 116-7)

女性の解放 (岩波文庫 白 116-7)

たとえば、世界の遠くはなれた国の人々がイギリスについて少し勉強して、イギリスが女王に統治せられていることを知ったならば、彼はこの上もなく驚くであろう。そしてそれはあまりにも不自然で、あるいは信じがたいとさえ思うにちがいない。ところが、イギリス人はこれに慣れているから少しも不自然だとは考えないのである。しかし、そのイギリス人といえども、女性が兵隊となり国会議員となったとすれば、それは不自然だと思うであろう。だが封建時代においては、戦争と政治とは女性にも不自然なこととは考えられていなかった。それはよくあることであったからである。すなわち、特権階級の女性は、体力以外の点では、その夫や父親にくらべて劣らないほど男性的でなくてはならぬとされていたのであった。

近代社会を通ずるすべての原則によれば、問題はひとえに女性自身にかかっている―それは、彼女自身の経験と彼女自身の能力の使用とによって決定されるべきものだからである。ある人または多数の人が何ができるか、それはその人にやらせてみるしかこれを知る必要はない―そして何をなすことがその人の幸福であるか、またその幸福のためには何をしないでおくのがいいか、他人がそれを発見する方法は、やはりその人にやらせてみる以外にはない。

二人の人が集まって任意に結合をつくる場合に、その一人が絶対の主権者でなければならぬということはない。ましてどちらのものがそれになるかを、法律が定めなければならないことはない。

陶冶された能力をもち、同じ意見と目的をもつ二人の人間、しかもそのあいだにはもっともよい意味における平等があり、たがいにすぐれた点をもちながら、しかもその能力や才能が似かよっている、そしてその結果各々が相互に尊敬しあうよろこびを味わい、相互に導き導かれつつ向上の道をたどることができる、そういう二人の結婚がどんなに幸福なものであるか。(中略)これが、そしてこれのみが結婚の理想であると主張したい。


読みはじめは「こんなに大切で当たり前のことばかり書いてある本が、どうしてあまり知られず、新版も出ずにいるんだろう」と思ったけれど*1、読み進めるうちにわかってきた。あまりにも当たり前すぎるからだ。


これを読み終えたあと、Kindleで「LEAN IN」を引っ張り出して、マーキングした箇所を辿ってみた。100年経って遥かに前進したようにも感じるし、何も変わっていないようにも思う。


*1:たとえば男女の性差の特徴について等、部分的には古さを感じるところはある

最近読んでいる本

なんか、映画の感想書くのも面倒になってきた(数が多すぎて)。


「100本」目標を達成したのと、時間的・精神的にも少し余裕が出てきたのもあって、読書を再開した。小説以外の本を読む意欲が出てきていて、じっくり頭を使って考えながら読むのが楽しい。久しぶりに使ってない筋肉を動かしている感じ。

ブロンテ姉妹 ポケットマスターピース12 (集英社文庫 ヘリテージシリーズ Z)

ブロンテ姉妹 ポケットマスターピース12 (集英社文庫 ヘリテージシリーズ Z)

僕の名はアラム (新潮文庫)

僕の名はアラム (新潮文庫)

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

自負と偏見のイギリス文化―J・オースティンの世界 (岩波新書)

自負と偏見のイギリス文化―J・オースティンの世界 (岩波新書)

自分だけの部屋 (新装版)

自分だけの部屋 (新装版)

自由論 (光文社古典新訳文庫)

自由論 (光文社古典新訳文庫)


このあたりの本を読んだ。「嫌われる勇気」は家族に薦められて読んだけれど、結構よかった。全く新しいことが書いてある、というよりも、文学や音楽を含むいろんな場所で見聴きしたことが、体系的な知になってる感じ。

しばらくは文学を拠点に、19世紀~20世紀初頭イギリスのフェミニズムについて勉強してみたい。少し立ち止まって、広い視点で、女性が生きること・働くことについて考えられれば、と思っている。

今は、ミルの「女性の解放」を読んでいるけど、借りた岩波文庫が古くて(1957年)、とても読みづらい。新版も出ていないようで、もったいない。大切で基本的なことばかり書いてあるのに。

女性の解放 (岩波文庫 白 116-7)

女性の解放 (岩波文庫 白 116-7)

禁酒して二ヶ月経った

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↑の続き。本当にアルコール、一滴も飲んでいません。その反動かどうかはわからないけど、甘いものを食べるようになって、前の日記書いた時より体重はちょっと増えた。半年辞められれば禁酒というより断酒かな、って思っているので、なるべくがんばりたい。


ごくたまに、ノンアルコールビールを試してみてるけど、おいしくない。これ飲むんだったらソフトドリンクか野菜ジュースでいいやって感じ。この間は二進法な名前のやつを試してみた。まずいけど、のどごしは完全に一番搾りのそれで、キリンの企業努力を感じる。おすすめノンアルコールビール情報が知りたいです。


最近観た映画のかんそう その1(イップ・マン、エルミタージュ美術館、無限の住人、カフェ・ソサエティ、パーソナル・ショッパー)

映画の感想がどんどんたまっていたので、まとめる。ほぼ日手帳やfilmarks、Twitterに断片的に書いていたけど、やっぱりブログにちゃんとまとめると、数年後に気になった時パッと出てくるので、ブログは便利。

それと自分が書くのはあくまで感想であって、「レビュー」ではない、という意識があるので、filmarksに長々とコメントするのは性に合わなかった。

いっぱいあるので、エントリを3回くらいに分ける。

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今年の目標『映画を100本観る』を達成した

目標について

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1月にこんな目標を立てて、異常な頻度で映画館に通いつめた結果、昨日『美しい星』を観て、めでたく100本達成してしまった。ちょうど半年。正直ちょっとペース上げすぎた・・・と思うけれど、とりあえず有言実行できたので嬉しい。

100本の定義は何でもアリで、精神安定のためにしょっちゅう観ている映画以外は、すべてカウントした。同じ映画を何回観ても良しというルールにしたので、100分の7は『美女と野獣』です・・・・。昔観た映画を観返すのもOKとした。

ちなみに100本観てかかった金額は92,400円です。これでも前売り券やレディースデー、会員ポイント、家族にチケ代をおごってもらう、等をフル活用しており、定価で観たのは4,5回くらいしかない。これを安いとみるか、高いとみるか。。。

今後は、映画は引き続き観ていくけれど、ひとまず満足したので、2017年下半期は何か別のことに挑戦したい。

やってみて良かったこと

興味の幅が広がった

まず一番良かったのが、これ。それまではラブロマンスやアニメ、一部のミニシアター系文芸映画ばかり観ていたけど、100本達成にあたって、今まで見向きもしなかったジャンルに敢えて挑戦することにした。

具体的には、アメコミ、サイコスリラー、カンフー、アイドル主演の青春モノといったジャンルを開拓した。特に「キングコング」や「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のような、アメリカンなエンタメ映画の楽しさがわかるようになったのは良かった。新ジャンル開拓は純粋に楽しいので、引き続き掘り下げていきたい。ホラーや任侠モノにも手を出したいし、非英語圏の映画(ボリウッド等)も理解できるようになりたい。それと日本の昔の映画をもっと観ていきたい。


流血や、人が死ぬシーンに耐性が着いた

これは自分でも結構驚いている。前は時代劇のちょっとした血しぶきも苦手なくらいだったのに、観まくっているうちに、いつのまにか克服していた。今はよっぽどグロテスクじゃない限り平気だし、マフィア映画のような、ガンガン人が死んでいく映画でも楽しんで観ている。慣れってすごい。

2017年上半期ベスト/ワースト5

100本観てみて、いろんな意味で記憶に残っている作品を挙げてみた。ベスト5は過去の超名作などを含むと際限がないので、劇場公開された新作だけにした。ワースト5は、Amazonビデオで観られる過去作も含んでいる。

ベスト5(※新作のみ)

  1. 美女と野獣
  2. 牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件※厳密には新作ではないけれど、25年ぶりに上映(しかもVHS以降パッケージ化されていない)ということで、新作扱いとした
  3. LA LA LAND
  4. キングコング 髑髏島の巨神
  5. ネオン・デーモン

正直1〜3位は通常の私の好みの範疇だけれど、4・5位は、この「100本」目標が無かったら絶対に観てなかったはず。全然ジャンルは違うけど、どちらも衝撃を受けた、面白すぎて…。5位は「夜明け告げるルーのうた」とすっごく迷ったけれど、わけのわからない異世界へのトリップ体験をさせてくれたという理由から、今回は「ネオン・デーモン」に軍配を上げた。


ワースト5(※旧作を含む)

  1. 千年の恋 ひかる源氏物語
  2. 20世紀ノスタルジア
  3. 無限の住人
  4. たかが世界の終わり
  5. セッション

1、2位はとにかく狂っていて、よくこんな頭おかしい映画作れたなと感心する。「ひかる源氏」は意味不明すぎて笑いが止まらないので、ヒマでヒマで仕方ない人だけ、Amazonビデオで見てほしい。3、4はとにかくつまらなすぎて、映画館を途中退場しようか迷うほど退屈だった。

鑑賞リスト

以下、100本の内容。

  1. 座頭市
  2. 映画妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!
  3. ブルーに生まれついて
  4. 変態だ
  5. 溺れるナイフ
  6. シネマ歌舞伎 阿古屋
  7. 2つ目の窓
  8. マンハッタン
  9. SUPER FOLK SONG
  10. 沈黙 サイレンス
  11. 細雪
  12. 犬神家の一族
  13. ネオン・デーモン
  14. 劇場版カードキャプターさくら
  15. ロミオ&ジュリエット
  16. 湾生回家
  17. 20世紀ノスタルジア
  18. 僕と世界の方程式
  19. 千年の恋 ひかる源氏物語
  20. クラウド アトラス
  21. 未来を花束にして
  22. グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状
  23. ぐるりのこと。
  24. 王様のためのホログラム
  25. たかが世界の終わり
  26. LA LA LAND
  27. 夢と狂気の王国
  28. 珈琲時光
  29. Seventh Code
  30. ドクター・ストレンジ
  31. セッション
  32. LA LA LAND
  33. ハルチカ
  34. ラビング 愛という名前のふたり
  35. 彼らが本気で編むときは、
  36. At the terrace テラスにて
  37. ヨーヨー・マと旅するシルクロード
  38. 劇場版 SPEC 天
  39. ひるね姫〜知らないワタシの物語〜
  40. お嬢さん
  41. レオン/完全版
  42. モアナと伝説の海
  43. ダラス・バイヤーズクラブ
  44. MERU/メルー
  45. ミッドナイト・イン・パリ
  46. 牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件
  47. ある公爵夫人の生涯
  48. ブラック・スワン
  49. ムーンライト
  50. 乱 4K
  51. アメリ
  52. ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命
  53. キングコング 髑髏島の巨神
  54. 夜は短し歩けよ乙女
  55. 愛のむきだし
  56. T2 トレインスポッティング
  57. GHOST IN THE SHELL IMAX 3D 字幕版
  58. LION/ライオン ~25年目のただいま~
  59. レゴバットマン ザ・ムービー
  60. マーズ・アタック!
  61. ピープル vs ジョージ・ルーカス
  62. ねこあつめの家
  63. メットガラ ドレスをまとった美術館
  64. シン・ゴジラ
  65. ゴッドファーザー
  66. ゴッドファーザー PartⅡ
  67. パリが愛した写真家 ロベール・ドアノー<永遠の3秒>
  68. 美女と野獣 IMAX 3D 字幕版
  69. 関東無宿
  70. 刺青一代
  71. ゴッドファーザー PartⅢ
  72. 美女と野獣 吹替版
  73. 美女と野獣 IMAX 3D 字幕版
  74. 美女と野獣 TCX DOLBY ATMOS
  75. 無限の住人
  76. イップ・マン 継承
  77. エルミタージュ美術館 美を守る宮殿
  78. カフェ・ソサエティ
  79. ドリームガールズ
  80. 美女と野獣 字幕版
  81. パーソナル・ショッパー
  82. 台北トーリー
  83. アンタッチャブル
  84. 夜空はいつでも最高密度の青色だ
  85. ムーラン・ルージュ
  86. 美女と野獣 字幕版
  87. ヒューゴの不思議な発明
  88. メッセージ
  89. 夜明け告げるルーのうた
  90. サウンド・オブ・ミュージック
  91. 雪之丞変化
  92. SING 日本語吹替版
  93. 俺たちに明日はない
  94. ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
  95. 美女と野獣 IMAX 3D 字幕版
  96. ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス
  97. グッバイ、レーニン!
  98. 美女と野獣ジャン・コクトー版)
  99. 美女と野獣クリストフ・ガンズ版)
  100. 美しい星

ジャン・コクトー版『美女と野獣』(1946年)感想と、「物語が100年生き続ける」ということについて

どうもこんにちは。このひと月、映画『美女と野獣』を7回観て、脳の神経がおかしくなったんじゃないかってくらい毎回号泣している、id:mitsuba3です。


ところで本ブログのタイトルは、ジャン・コクトーの詩『耳』から拝借している。最近、不勉強ながら、彼が1946年に『美女と野獣』の実写映画を監督していたことを知った。これまでコクトーの詩や小説・イラストには少しずつ親しんできたものの、映像作品は全く観たことがない。早速DVDを購入した。Amazonで950円だった。

美女と野獣 [DVD]

美女と野獣 [DVD]


とりあえず観てみた


内容としては、ヴィルヌーヴ夫人/ボーモン夫人の原作をほぼ忠実に再現しており、当然ながら、ディズニーのお話とは大きく異なっている。話が逸れるが、原作のベルって三姉妹の末っ子で、わがままで傲慢な姉ふたりにイビられるっていう設定なんだよなあ。ちょっとシンデレラっぽい。

とりあえず感じたのは「稀代の詩人も、映画を撮ると案外凡庸だな…」ということだった。1940年代のモノクロ映画というと、どうしても「カサブランカ」を思い浮かべてしまうけれども、やっぱりあれと比べるのは酷だろうか。

映像的にアヴァンギャルドな部分はなくて、どこかミニチュア感が漂うチープなセットには、映画というより舞台を観ている気分になる。これはやっぱり、コクトーが戯曲やバレエを手がけていたことに由来しているのだろう。


コクトーの演劇的演出


特に演劇的だったのが、野獣の魔法の城の内部のセット。真っ黒な背景のなか、燈籠や階段、暖炉にイス、テーブルが一度に存在する空間設計。そして壁や柱の中に何人も人が入っており、彼らが不気味に動くことで、モノが勝手に動いたり、扉が開閉する仕掛けになっている。

この「ヒト=舞台装置」が、絶妙に気味が悪い「魔法の城」の雰囲気を醸し出している。コクトーなりに苦心して、こういった演出になったのだと思うけれど、やはり「演劇人」らしさを感じる。

野獣の本当の姿


唯一理解に苦しんだのが、ラスト、王子に戻った野獣の姿。実はこの王子が、冒頭でベルに求婚をするイケメンな青年―すなわちディズニー版で言うところの"ガストン"―と同じ顔なのである!(※同一人物ではなく、一人二役)…………えええー!?

青年の名はアヴナン。ガストンよりずっと、勇気があって凛々しい。ベルへの態度も誠実で、むしろ好青年と言ってもいい。アヴナンは、野獣を殺すついでに城の財宝を奪おうと試みるも、突如現れた"魔女"的な存在によって、野獣の姿にされてしまう。同時に、ベルの帰りを待って死にかけていた野獣が、アヴナンと同じ顔のイケメン王子に戻るのだ。

最後にベルは「本当はアヴナンを愛していたが、父の側にいたいので求婚を受け入れられなかった。今は、(アヴナンと)同じように野獣も愛している」と言う。王子も「両親が信仰を怠ったため、罪のない自分が野獣の姿にされたのだ」と、唐突にキリスト教的価値観を持ち出す。そしてめでたしめでたし……うーむ。

コクトー版『美女と野獣』の物語の意味


この結びを好意的に解釈すれば「愛は人を(あくまで表面的に)醜くもするし、美しくもする」ということなのだろう。城に閉じ込められたベルは、野獣の紳士的な態度を受け入れていく。また、自分を醜いと卑下する野獣を、叱咤するようなことも言う。

けれども、野獣が「醜く」、美青年のアヴナンが「美しい」という価値観が、ベルの中で最後まで揺らいでいるようには見えなかった。ラスト、死にかけの野獣の元にベルが戻ってくるまでは良かったのに、最後の最後にルックス重視とも取れるセリフがベルから出てきたことに、正直言って萎えた。いくらジャン・コクトーとはいえ、時代の限界と言うべき落胆を感じざるを得ない。とても残念で、かつ興味深いラストである。

物語は生きて、進化している


実写ディズニー版が唱えるのは、言うまでもなく「表面的な部分を超え、物事の本質や深い部分をいかに感じ取れるかが大切」というシンプルかつ重いメッセージだ。90年代のアニメ版を通過点として、その主張はより輝きを増している。コクトー版から70年を経て、ここにたどり着いたのだとしたらーーーいや、原作が書かれた18世紀末から今日まで、『美女と野獣』という物語そのものが、ずっと進化を続けているのだとしたら。

私がディズニー実写版で泣いてしまうのは、この「物語という生命」について、極めてメタな自己言及がなされている、と感じるからだ。例えば、エンドロールでセリーヌ・ディオンが歌う「How Does A Moment Last Forever」は、このような歌い出しだ。

How does a moment last forever? 一瞬を永遠にするには?
How can a story never die? 物語を続けていくためには?
It is love we must hold onto それは愛を離さぬこと
Never easy, but we try 決して簡単ではないけれど、努力して


時代は動いていて、物語は続いていく。ディズニーの制作陣はそのことを、確信犯的にやってのけている。俺たちが物語を続けていくんだ、という宣言のようなものに触れて、自然と涙が出てきてしまう。この歌は、”美女と野獣”の歌であると同時に、ディズニーという夢想家集団(=イマジニア)の決意表明でもあるのだろう。


www.youtube.com


あーーーー、8回目、観たくなってきた……。