海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

衣食住

きもの (新潮文庫)

きもの (新潮文庫)


読む前に松岡正剛の批評を読んでしまい、「女性の教養小説」とあったのでもうこれは絶対自分は好きだろなと思って読んだら、当たりだった。明治を生きる一人の女の子るつ子が、きものを通して大人になっていくただそれだけの物語。小津安二郎の映画のいくつかとシーンと重なる場所があって、切ない気持ちになったりもした。お見合いへの反発とか、家族の死とその周りの対応とか。


人間の生活の根本となる要素は紛れもなく衣食住の3つだけど、これらを小説の中で徹頭徹尾描いているものって実は少ない気がする。同じく二世作家で、大好きな森茉莉のエッセイもそういう意味では同じ。真の豊かさとは、彼女たちみたいな暮らしのことを言うのだろう。

貧乏サヴァラン (ちくま文庫)

貧乏サヴァラン (ちくま文庫)