海の響きを懐かしむ

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総合政策学の理論的基礎・研究手法

総合政策学―問題発見・解決の方法と実践

総合政策学―問題発見・解決の方法と実践


総合政策学の学位を得る予定にある人間として、今一度総合政策学とは何か、立ち返って考える必要があると思った。本著の第2章の岡部先生による説明が、わかりやすく簡潔にまとまっていた。総合政策学とはプロセスを重視し、実践知を追究する学問であり、またインターネットをはじめICT技術の考え方の影響を受けている。特にモジュール化の部分は公共政策や社会科学にとどまらず、汎用的な考え方。卒業論文を目前にして、こうした確認作業ができたことを幸せに思う。いわゆる環境情報系の学生、技術系の人々も必読だと思います。以下はメモなので、詳しくは現本を参考にした方がよいです。このメモは、よく言われる「問題発見・解決」にはあまり言及せずに進めています。【】は例によって個人的な意見・雑感です。

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<定義>

「各種学問領域を有機的に利用しつつ、IT革新の影響下にある現代社会の問題の発見、その性質の解析、多様な手法ならびに多様な関係者の活用、という一連のプロセスを扱う「問題発見・解決型」の社会科学もしくは研究方法」

文章を通して主張されているのは、総合政策学とはプロセスを重視し、実践知を追究する学問であること。


<総合政策学が要求される背景>
ICTをはじめとする情報の利用形態・情報処理の必要によって、社会構造がフラット化した。そのことによって

  • 中間組織の増加

 NGO/NPOをはじめとする組織の出現。それまでの手法では対応できない問題に対応。
 ex. ICANN

  • 公共性の開放

という現象が、現代社会に見られる。


<既存の社会科学との違い>
とにもかくにも、はじめに問題ありき。

  総合政策学 社会科学
アプローチ issue-driven discipline-driven, method-driven
重要視するもの commitment, involvement detachment


<総合政策学の目標>

  1. (既存の社会科学的における)伝統的な目標:効率性・安定性・公平性・成長
  2. 実践性(ガバナンス)・行動の知

行動の知については↓で詳しく言及。


<評価指針>
自由度・豊かさは定量化が困難だが、概念的、積極的に追求すべき
【あくまで「すべき」であって、具体的な指針が一切書かれていない。著者にとっても具体化されていない部分なのだろう。科学にとって定量化するのは必須なのだが、あいまいな記述で終わっている。これは過去の卒業生のX論を読むとかして経験的に把握していくしかないのだろう。】


<プロセス重視>
設計者(アーキテクト)ははじめから完全な知識を持たない。しかしそれらの知識はデザインにおけるプロセスで対応できる。

行動の知は3つに分類できる。

  1. メソッドの統合:既存手法の統合的な利用
  2. アクターの統合:多様なバックグラウンドをもつ人々を包含。inter-action。【つまりコラボレーション?】
  3. プロセスの統合

プロセスの統合は以下の3つを指し、ことばによる概念化を行う。

  • 一般性の抽出
  • 問題解決の普遍化
  • 実践知


<特徴>

モジュール化
モジュール化とは

  • タスクの分散【自立分散協調?】
  • 情報の隠し立て(information hiding)もしくは可視化(visualization)

 情報を、モジュール間のinterfaceの一定の共通様式として固定化=可視化
 interfaceの例) 公共政策、民間主体の方策(private strategy)

総合政策学とは、モジュール構造を持つシステム。≠inter-disciplinary, trans-disciplinary
専門性は必要であり、時間的同時進行という特徴を持つ。
【ここで重要なのは、専門性を軽視せずむしろ重要なものとして捉えている点と、inter-disciplinaryではないと言い切っている点。専門性を持ちかつ統合する。】


研究手法

  1. induction
  2. deduction
  3. abduction

この3点についてはかねたか先生のblogにまとめられている。


コンテクストを作り出す力
行動・実践において現実を認識する場合に、文脈効果、文脈可能性が必要とされる。それらは

  1. 直感
  2. 人文学的素養
  3. 美的感覚

などを必要とする。


スリー''ワーク''アプローチ

  1. field work:実地調査
  2. network:インターネットや人的なネットワーク
  3. framework:図式化、モデル、理論 ex)ゲーム理論の応用モデル化など