海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

風姿花伝

風姿花伝 (岩波文庫)
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「場」について考えるにあたり、自分の頭だけでは限界を感じたのである先生に相談したところ、風姿花伝をお勧めいただいた。一読して、直接「場」に関する言及は無くて、まあそんなに簡単じゃないよな、と。秘すれば花、とか、初心わするるべからず、とかも世阿弥のことばらしい。芸能論というよりは精神論に近い。徹底的に物まねをすることで、結果「似せんと思ふ心なし」という境地に達することができるのだ。


気づいたのは、自分がふだん思考するなかで、時間の概念をまったく鑑みていなかったということ。まず最初に、芸を極める為にそのときそのとき何をすべきか、年齢を追って解説されている。(第一 年来稽古条々)

そのあとも、因果の花、時分の花、という言葉が頻出するように、時の流れと「花の咲く美しさ(≒幽玄)」は不可分の関係にあることがわかる。日本文化、東洋思想を考えるときに時間の概念はキーになると思った。以下の一文がそれを良く表している。

春の花の比(ころ)過ぎて、夏草の花を賞かんせんずる時分に、春の花の風体ばかりを得たらん為手が、夏草の花は無くて、過ぎし春の花をまた持ちて出でたらんは、時の花に合ふべしや

「いき」よりも幽玄のほうが時代的にたぶん古くて(室町時代)、こちらのほうがまだ私の目指す価値観に近いかな、という気がした。(いきは色気/エロさと結びつきすぎているので)

あと、家について、最後に少しだけ言及があった。

「家、家にあらず。次ぐをもって家とす。人、人にあらず。知るをもって人とす。」と云へり。
これ、萬徳了達の妙花を極むる所なるべし。


次ぐことで極めていくものと、一瞬で通り過ぎていくもの。