海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

女が選び、男が判子を押す。

気流の鳴る音―交響するコミューン (ちくま学芸文庫)

気流の鳴る音―交響するコミューン (ちくま学芸文庫)

ひさしぶりに、何言ってるかわからんという体験をした本だった。小説や詩だとボルヘスやイーガンがそれにあたるけど、学術書だとたいてい「わかっている」ことが書いてあるものしか選ばないから。本文にもあるけど、我々は視たいものしか見ていないのです。つまづきつつも面白く読みました。基本は、カルロス・カスタネダという作家/人類学者と、ドン・ファンとよばれるメキシコの現住民族の老人との対話と、そこから導かれる死生観をめぐるお話。トナール、ナワールなどの独特の表現がたくさん出てくるので(カスタネダの言葉らしいけど)わかりにくい。以下のサイトによくまとまっている。ナワールとトナールは、それぞれバラモン思想におけるブラフマン(宇宙我)とアートマン(個体我)に照応するらしい。こういうア二ミズム的というか、民族/宗教に入り込みすぎると時間なくなるので追わないけど、基本的に最近わたしが凝っている「聴く」という態度、聴覚を重んじる姿勢はやっぱりマクルーハンの言う通り、非西欧的な文化と関係あるなあ、ということを再確認できた。筆者がことあるごとに更級日記や芭蕉などから導かれる日本の思想を引き合いに出している点も勉強になった。

タイトルはある人に言われた言葉で、本文とは関係ないので、あしからず。