海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

詩的で私的

なんだか孤独な映画だった。宇多田ヒカルがひとりでは孤独を感じられないと歌っていたけど、宗教によって神という絶対的な他者をつくりだしてしまったが故の孤独なのかもしれないと思った。ブラッド・ピットはどこまでが演技でどこからが素なのかわからなくて、それ以外の人物も、徹底的に感情移入を排していたように思う。一切の説明を拒否している感じは、タイトルバックがないことに顕著に現れていて、こういう映画の作りかたもあるんだなって当たり前ながら考えた。

映像や音楽は美しかったけど、スクリーンの向こうに引っ張られることがなくて、ひたすら向こうが私の脳みそにアクセスしてくるのを待っていた。自分の身体、背もたれの布と背中の摩擦とか、脇に置いた腕の感覚を終始はっきりと自覚していて、映画というより一冊の詩集を読んでいる感じがした。ポエティックで、限りなく夢に近かったけど、ページをめくる指先の感覚は確実に残っているような、あの感じに近かった。だからなのかな、観終わった後途方もない疲労に包まれた。


他のところ、例えば旧約聖書からエデンの東を通過して脈々と続く、アメリカ的な父子の確執というテーマなどについては、時間が経てばいつかわかるかもしれないし、わからないかもしれない。とりあえず、読もう読もうと思っていたヨブ記を買ってきて、今読んでいる。

旧約聖書 ヨブ記 (岩波文庫 青 801-4)

旧約聖書 ヨブ記 (岩波文庫 青 801-4)