海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

情報の文明学

情報の文明学 (中公文庫)

情報の文明学 (中公文庫)

初めて梅棹忠夫氏の本を読んだ。2月に未来館でやっていた展示も行けなかったし、やっと、という感じではある。

 

予想よりも計算機に関する話題がなく、農業や服飾といった分野に言及しながら、広く「情報」をめぐる話題に及んでいたのが印象的だった。たしかに30年前からこういったことを考えていたのはすごいし、今、ここに書いてあることが当たり前に感じられることが驚きではある。そしてコンピュータと情報を直結させて考えるのは早計であることを何度も説いていた。

 

内容として気になった点は、

  • 情報産業の文化的効果
  • 聴覚以外の器官への関心。特に味覚・嗅覚
  • 外胚葉産業としての情報産業と、時間的制約を突き崩した近代文明
  • 輸送機関ではなく、情報機関としての鉄道(福沢諭吉「民情一新」)
  • プラグマティックな意味での情報

など。

 

また非常に文章がわかりやすく、すぅーっと撫でるように読めてしまった。その要因として、「理科系の作文技術」にあるような書き方が徹底されているからかな、と思った。つまり、

 

  • 漢字とひらがなのバランスが絶妙にとれており、かたすぎずも、やわらかすぎもしない文章になっていること(ex. ☓思う→◯おもう、など)
  • 破格がないこと

 

といった要素が、内容の明確さに加えて、読みやすさに拍車をかけているのだと思った。