海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

私の銀座

私の銀座 (新潮文庫)

私の銀座 (新潮文庫)

銀座で買い物をすると「銀座百店」という薄い冊子をもらえることがある。めくると、老舗の店舗情報や文化人、有名人のエッセイが載っていて、帰りの地下鉄で楽しみに読むことが多い。「銀座百店会」の歴史は古く、向田邦子「父の詫び状」もここから生まれたそうだ。本書では、その50年近い数々のエッセイが収められている。一度に読むのが惜しく思えたため、夜眠る前に少しずつ読み進めていった。

 

物書きを生業にしている人よりも、そうでない人の文章のほうが面白かったように思う。淀川長治山田洋次森田芳光といった映画監督の文章は率直で力強かったし、水野真紀本上まなみら女優さんの意外な(?)素直さやTVではわからない知性も知られてうれしかった。立川談志の、銀座と夜と女についての鮮やかな想い出は、短い文章ながらその巧さにほれぼれしてしまった。

とはいえ、三島由紀夫藤原正彦といった大物の筆には唸るものがあったし、川上未映子は今まで読んだ彼女のどれよりも、素朴でよかった。反対に橋田壽賀子や村上春樹はつまらなかった。銀座に対するルサンチマンを書かれたって何も面白く無い。