海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

Talk to Her

2002年のスペイン映画「Talk to Her」を観た。タイトルだけはなぜかずっと知っていたけど、ピナ・バウシュカエターノ・ヴェローゾが出演していると聞いて観る気になった。

 

とても難しかった。同じ難しさでもタルコフスキーや、この間のツィゴイネルワイゼンのように映像的な美しさに頼るわけでもない(いくつかきれいなところはあったが)。解説を読むと「究極の愛の物語」とあるけど・・本当のテーマは一般的な意味での愛ではないのではないだろうか。

 

昏睡状態になった女に話しかけ、献身的に看病する男ベニグノの思いは確かに強く固いけれども、女に対して一方通行な態度でしかない以上、そこに「愛」は発生していないように思えた。またもう一人の主人公マルコも、恋人との関係が愛ではなく恋(romance)だったことに途中で気づく。せつない。

 

我々の前に存在するのは『イマ・ココ』と、そこからすり落ちた『過去へのやるせない郷愁』だけであり、後者を見つめてばかりいては『ほんとうの愛』など生じ得ない、そんな話な気がした。だからこそあの曖昧なラストシーンには予感めいた希望を感じることができるのだし、同時に何かを待つということの圧倒的な絶望も押し寄せる。

 

ふたりの女性が、それぞれ服を着せられるシーンがよかった。私たちは絶えず誰かに何かを着せられていて、場合によってはそうすることを意思によって望んでいる。眠っている時も、起きている時も。


Talk To Her (Hable con ella) - Trailer - (2002) - HQ