海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

東京プリズン

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文藝 2012年 08月号 [雑誌]

文藝 2012年 08月号 [雑誌]

 

一昨日読み終える。

圧巻、の一言。ぞくぞくしながらページをめくる、という体験を久しぶりにした。スゴイ、とか、ヤバイ、みたいなことしか言えないのが貧弱だがとにかく凄い本だった。

 

ファンタジックなことばで語られるのは、「母娘の関係」と「天皇の戦争責任」である。普遍的な何かが記されている、と強く思う一方、「小説ってこんなに自由でよかったんだ」という発見もあった。

彼女のことばを借りれば、私は戦争がもたらす因果を知らずに(教わらずに)育った、物語の断絶のあとに生きている世代だ。読み終えてから、常日頃思っている「自分の物語をつくること」に関して、これまでより少しスコープを広げて、巨視的に考えるようになった。もっとはっきり言うと戦後史に興味を持った。歴史の<事実>とその<解釈>、そして<関係>についてーーー社会のこと、国家のこと、民族のこと、家族のこと、そのほか・・小さな頭でできるだけ、考えていきたい。

 

『文藝』も興味深く読んだ。彼女自身、とても素敵でカッコいいひとだということが、よくわかった。今、2012年の日本で、こういう書き手と小説に出会えたことがほんとうにうれしい。