海の響きを懐かしむ

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現実が歴史を創る

ユダヤ人 (岩波新書)

ユダヤ人 (岩波新書)

<気になったところ>

・価値の創造に関わるとき、ひとは自己の確実性を得る。

・反ユダヤ主義とは、理性より感情(特に憎悪)の信仰の結果である。その理由は、「人間の不透明性に対する郷愁」に起因する。

・最初に「ユダヤ人」がいて、彼らを反ユダヤ主義者が嫌ったのではなく、社会が、反ユダヤ主義がユダヤ人を生み出した

・故に、ユダヤ人は社会的な人間である。

・ユダヤ人の理性主義 rationalismは、普遍を求める情熱である。

・その普遍が、金である。ユダヤ人が金を好むのは、紙幣や貨幣といった個別具体的なものが理由だからではない。彼らにとって、金とは抽象的で普遍的な所有形態であり、従って好むべきものである。

・人間は、状況における自由体である。その自由の正統性は、ある状況において責任を危険を引き受けられるかどうかで決る。

 

以上のような要素を、これまで自分が慣れ親しんだことばに照らせば、

「いまここの<現在 reality>が<過去 history>をつくる」

「自由には責任が伴う」

といった認識に帰納すると思う。

最終章の、革命による解決の提案だけは、少し議論が性急すぎる気がしてしまった。ボーヴォワールは読んだことがあるが、サルトルは経験したことがなかったので、実存主義も知らないし、そのいかにも回りくどい哲学者らしい文体に多少まごついたりも。それでも薄い本なので一日で読めた。全体を通して、ユダヤ人を媒介に、普遍について考察している名著だと思った。