海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

読書(9月前半)

女の人差し指 (文春文庫 (277‐6)) ラディゲの死 (新潮文庫 (み-3-29)) 赤頭巾ちゃん気をつけて (新潮文庫)

・女の人差し指

向田さんが亡くなる直前までのエッセイをまとめてある。心なしか「父の詫び状」より、仕事に疲れている感じがした。この人の良さは生活のなかのささくれみたいなものを、善良な悪意を、きれいな日本語で書くところだと思っている。でもそれが出すぎているように思えた。面白かったんだけど。

 

・ラディゲの死

短篇集。宇多田ヒカルを聴いていて、ミシマを読みたくなった。「みのもの月」と「日曜日」がよかった。我が国における悲恋もののパターンの一つに出家がある。昔は源氏物語から蝉しぐれまで、俗世を断ち切ろうとする男や女に、どーしてこうもぐっときてしまうのか。もっと簡単にカタルシスを得るのには死なせればいいのに、そうしない。

こういうのって、世界の中にお互い生存しつつも、生活するレイヤが決定的に異なっている、生の断絶があるということが重要な気がする。西洋やインドだと元から階級差(class)があるから、そこを乗り越えようとするのに、こっちだと逆に入っていく感じがして面白いなー、とか考えた。

 

・赤頭巾ちゃん気をつけて

いま、「女の子を殺さないために」という文藝評論本を読んでいるのだが、それを読み進めるにあたって、庄司薫を読んでないとお話にならない感が半端無かった。ので、読んでみた。(庄司薫という作家の名前も、恥ずかしながら知らなかった)

学生運動のころって、日本の戦後民主主義ってものがあったとして、それがお茶の間レベルまで存在していたんだな〜と。それが空中分解していく様はこういう感じなのかと。先月の小熊さん本につながっていく。確かに文体はサリンジャーっぽさが濃いけど、読み進めていくとそういう些末なことがどうでもよくなってくる。