海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

美しい行動

山崎ナオコーラ『この世は二人組ではできあがらない』|新潮社

三浦しをん『風が強く吹いている』|新潮社

蝶の皮膚の下 :赤坂 真理|河出書房新社

 

 

引き続いて女性作家を読んでいる(開拓してる)。山崎ナオコーラ『この世は二人組ではできあがらない』と三浦しをん『風が強く吹いている』、それから赤坂真理のデビュー作『蝶の皮膚の下』を読んだ。それぞれ全く違うけど、「物語(言葉)を獲得するまでのプロセス」という共通点があるように感じた。                  

 

『この世は二人組ではできあがらない』は、薄くて軽くてすぐ読めるのに、じんわりと前向きになれるすごくいい小説だった。誰にでもわかるシンプルな言葉と、そっけなさをギリギリに回避した言葉遣いが沁みた。なかよくしてもらってる友だちに、文庫本をあげたい。

作家を目指す主人公は、毎日言葉を探す。無理をするでもなく、だらけるわけでもない生き方に何度も共感したし、その日々の小さな行動の中に時折挟まっている、切れ味あるフレーズにはドキリとさせられた。

 

三浦しをん作品だと何がおすすめ?と聞いたら、友人が『風が強く吹いている』を教えてくれた。これもすごく良かった!ストーリーが本格的に動き出した中盤以降めちゃくちゃ面白くなって、最後は帰りの満員列車のなかで夢中になってページを捲った。キャラクターの書き分けも楽しかった。エンタテイメント。

『蝶の皮膚の下』もそうなのだけど、<主体>が<語る>ためには身体的運動が欠かせないのだ、と感じた。逆に言えば、肉体無きところに言葉は存在し得ない。今回は前者は駅伝というスポーツで、後者だとセックスだ。茨木のり子さんの詩を想い出す。

 

(それにしても真理さんの小説は"リア充"で、時々くらくらするほど。それなのに嫌な感じがしなくて、むしろ圧倒的に"私たち"の側に立っていて、だから応援したい。)

 

 

かかる美しい行動をわたしたちは見るか わたしたちの周囲に

茨木のり子『行動について』