海の響きを懐かしむ

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最近の関心ごと・UXとレイテンシの関係

ここ数ヶ月ずっと考えていることに、アプリケーションを利用する際に、レイテンシがユーザが感じる使いやすさにどう作用するか、またそれはどういうインターフェイスによって変化するのか、ということがある。具体的には、iPhoneからTwitterを利用する時なんかに、Twitterクライアントによって遅い/速いと感じるとき、その理由がどこから生じているのか知りたい。UIの設計が悪くて遅く感じるのか、ハードウェアが古いのか、ネットワーク環境が(地下にいたりとかして)悪いのか、Twitter.comのサーバそのものが落ちているのか。そういう原因の切り分けをして、かつどれくらいユーザの心理に影響しているかわかったらいいなと思う。

これに関連して、InstagramとPathは面白いアプリの設計をしていることを知った。以下のふたつのサイトから、引用させていただく。

絶好調のInstagram、設立者に聞く成功の秘密(インタビュー) (1/2)(滝日伴則) - BLOGOS(ブロゴス)

写真の美しさに加え、インスタグラムのチームはスピードに焦点を絞ろうとした -- 写真を早くアップロードするだけでなく、写真を撮影した後にフィルターをすぐに加えることが出来るようにした。

当時の通常の写真共有アプリは、シストロム氏曰く、アップロード/ダウンロードのスピードがとてつもなく遅かったようだ。そして、インスタグラムはこの問題に対するとても単純な解決策を見出した。「アプリの開発者は、単純な解決策が必要な場合でも複雑な解決策を求める傾向がある。」とシストロム氏は話している。「アップロードのスピードを上げるにはどうすればいいのだろうか?」そこで、インスタグラムは基本的にiPhone 4に合わせてアプリを最適化したようだ。

iPhone 4の最大解像度は612 x 612ピクセルであり、インスタグラムはこのデバイスを考慮して開発された。つまり、巨大なファイルは必要なかった。シンプルにすることにこだわり、それでいて、ユーザーが必要としている十分な質を提供した。また、シストロム氏は遅さを“隠す”ことに成功した仕組みにも触れていた。この点は極めて重要である。つまり、インスタグラムは、タグ付けを始める前に、アップロードをすぐに始めることで、遅延時間を隠しているのだ。ユーザーがアップロードする準備が整うまでに、既に水面下でアップロードが行われる。「高度な技術ではない」とシストロム氏は述べている。「常識であり、単純なことであり、細かいことが重要」なのだ。


iPhoneアプリの通信エラー処理を考える - iOS Advent Calendar 2011 - ninjinkun's diary

驚きです。Pathはネットワークがない状態でも、通常と同じようにPOSTに成功したように見えます。写真はタイムラインに表示され、問題なく処理が継続されます。注意深く見ていましたが、アプリがアクティブな状態でネットワーク接続が回復すると、投稿が自動的に行われます。複数枚の写真を投稿しても問題ないです。POSTというよりはタイムラインの双方向同期のような動き方をします。つまりPathの世界では通信が不可能な状態はエラーではないと言えます。これを実装するのはアプリの内部モデルとサーバーのデータを同期する必要があって相当面倒なはず。


これらのアプリは、ユーザが感じる心地よさみたいなものを考えながら、ネットワークの処理も含めた設計をしている。つまりちょっと極論すれば、下のレイヤでネットワークの最適化とかをやることと真逆なこと、エンドユーザに対して遅延をうまく隠して見えないようにインターフェイスを設計する、ということをやっている気がする。

それから、SFCの山中先生も、過去にiPadMUJI NOTEBOOKというアプリに関して、こんなつぶやきをされている。

Twitter

MUJIのアプリ"NOTEBOOK"に「できない事」は多い。しかし、できる事のスムーズさに驚く。レイテンシ(応答遅延)の問題は、今やインターフェース上の最重要課題なのではないか。我々は「一瞬待たされる事」を許容し過ぎていたかもしれない。


こういう、アプリケーションを利用するエンドユーザの満足感みたいなものをどうデザインするか、というのを考える分野が、ユーザエクスペリエンス(UX)なのだ、ということを、恥ずかしながら最近知った。まだ、とりあえず「知りたい!!」の段階で、知識が圧倒的に足りないので、論文を読もうと思って、探してみている。するとオンラインゲームの分野で、ネットワークのレイテンシが及ぼす影響に関しては、論文が結構ありそうなことがわかった。

Some thoughts on emulating jitter for user experience trials
The effect of latency on user performance in Warcraft III

Browse Results - SpringerLink

あとは、そういったユーザ体験を質的/量的に把握しようという論文も(まだちゃんと探してないけど)あるはずだ。



とりあえずこれらの論文を読むことから始めたいけれど、本当に自分にとって知らないことが多すぎる。なのでもしこれを読んで下さった方で、もっと他に読むべき論文や本、話を聞いてみるべき人がいれば、教えていただけますと幸いです。

※追記
IEEEやSIGCOMMに、ネトゲに関するワークショップをみつけた。このあたりの論文に沢山QoEとかありそう。
Event: NetGames
Network and System Support for Games