海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

"Lost" Heart


実は初めての森博嗣作品だった。

よくも悪くも、原作の根本的なテーマである(と少なくとも私は思っている)キリスト教的な「赦し」という主題からはすこし外れて、原作の持つ美しさを抽象的に取り出して文章にした、という感じだった。そういう意味では帯に著者が意図を記した通りに、成功していると思う。とは言うもののディテールは結構違っているので、単にノベライズというよりも、外伝的な、派生作品として捉えるのが良いと思う。タイトルの英訳を、「Lost Heart for Thoma」としているのがすごく気に入っている。


ぼくは成熟しただけの子どもだ ということはじゅうぶんわかっているし
だから この少年の時としての愛が
性もなく正体もわからないなにか透明なものへ向かって
投げだされるのだということも知っている(萩尾望都トーマの心臓