海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

複雑さと素直さ

コクトー詩集 (新潮文庫)
蜘蛛女のキス (集英社文庫)










数週間、海外旅行に行ってきた。その道中でコクトーコクトー詩集」、プイグ「蜘蛛女のキス」を読んだ。また飛行機の中で、「The Artist」を観た。

コクトー詩集は、いつの時代の何をした人かも知らないまま古本屋で買ったもの。主にベルギーやフランスに行く列車の中で、じっくりと読んだ。この旅に出る前、どの本を持っていこうかさんざん迷ったのだけど、これにして正解だったと思う。いくつか好きな文があったのだけど、「わたしの耳は貝の殻 海の響きを懐かしむ」というものが特に気に入っている。

「蜘蛛女のキス」は、ヨーロッパから戻り、南国へむかう際に成田空港で購入。ずっと読みたいと思っていたので見つけられてうれしかった。クエスチョンマークを抱えながら、独特の空気に引き込まれていく感じ、しかも疑問符は消えないまま、という感じが良かった。ボルヘス、プイグ、ガルシア=マルケスといったラテンアメリカの20世紀の文学に以前から関心を持っているのだけど、それらを特徴づける要素を自分の中で言語化してみたい。いずれの作家も、作品に特徴的な不思議さ/曖昧さがあって、それは明らかにヨーロッパやアメリカの小説とも違っている。キリスト教色が薄い気がする、というのもあるけどそれだけではないと思う。そういう、ラテンアメリカ文学を不思議たらしめる要素を知りたい。スペインにルーツを求めればいいのだろうか?とりあえず「ドン・キホーテ」は買ってきた。

一方で、シンプルでわかりやすいということもすごく大事で、「The Artist」はそういうことを強く教えてくれた。素直にクオリティ高く、みんながわかるものを作るということの圧倒的な強度、それをデジタル全盛の今の時代に嫌みなくやることのかっこよさ。この二つに痺れた。こういう映画をもっとたくさん観てみたい。