海の響きを懐かしむ

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言語と行為(1・2)

言語と行為

言語と行為


語用論の授業で、J.L.Austin「言語と行為」の輪読をすることになった。一見難解に見えるけれども精読すればそれほどややこしくないと思った。以下、第一章:序論と第二章:不適切性の理論をまとめる。

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これまで:

  • 哲学において、「陳述文(statement)」は、何らかの事実の記述・陳述をしたものである(事実確認的:Constructive)。
  • それらは、真偽のいずれかを果たすべきである。

いま:

  • 陳述文とされる文が、カントにはじまる検証や論理命題などによって、擬似陳述文(pseudo-statement)であるという可能性が生じている。
  • これを行為遂行的(Performative)とする。

行為遂行的文・ないし発言(Performative sentence / utterance)
=何かを言うことは、何かを行うことである
=言うことは、その事件に当事者として参与すること。


行為遂行的文が成り立つ条件

  1. いかなる場合においても、言葉が発せられる状況が、一つ無いし複数の意味で適当(appropriate)でなくてはならない。
  2. 言葉を発している本人あるいは関係する他の人々が、「身体的」、「精神的」な行為、あるいは引き続き何事かを言うという行為などの、当の遂行的発言とは別の行為もまた遂行しなければならない

適当(appropriate)さ:正しさ(right)を導くためには
→「【何かがうまくいっていない】が故に、ある行為が失敗に終わるような事例の型」を観察・分類することで明らかにする。
この【何か】に関する理論=不適切性の理論(the doctrine of Infelicities)


不適切性をもたらす規則は以下の6つに分類できる。

A/B:不発      Γ:濫用
行為は企図されたが、無効である    行為は言葉だけで実質がない
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A:誤発動    B:御執行  Γ.1:不誠実    Γ.2
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A.1  A.2:誤適用  B.1:欠陥 B.2:障害

不適切性を考えるにあたっての例外

  1. 酌量すべき理由/行為者の責任を軽減・阻却する要因がある(ex.ある行為が強制的に/偶然に/様々な錯誤のもとで/意図なく 行われた場合)
  2. 特殊な状況・独特の仕方で行われた発言は、言語褪化(etiolation of the language)として除外する(ex.詩/独り言/舞台における役者の語り のなかで行為遂行的発言がなされた場合)
  3. 行為遂行的発言が、誤解から生じている場合