海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

映画も小説も短編が好き


ずっと観たいと思っていた「Paris Je T'Aime」を観た。パリの各区ごとのショート・ショートがいろんな監督によって撮られているオムニバス・ムービー。この手のやつだとヌーヴェル・ヴァーグの「パリところどころ」が有名だけどそちらはまだ観れていない。

予想をはるかに下回る低予算映画だったけどw、結構よかった。こういった映画の欠点として、作り手の俗物根性が出る場合があると思っていて、観る前は勝手に危惧していた。その場所への勝手な回顧なんかが滲みでる場合があるからだ。結果それはほとんどなくて、現実的な映画だった。またパリでの撮影はとてもお金がかかるそうなので、そういうところでもバリエーションのある作品が撮れるのは、それだけ皆描きたいものがあり、愛されている街だからなのだろう。そして理想郷としてのパリというよりも、移民の街としてのパリや、場所によっては不潔で俗っぽい都市という側面を描いている作品が多かった。

全部で18の作品があるけれど、5分弱の時間を有効に使えている作品と、そうでないものの差が顕著だったように思う。クスっとくる笑いや社会的な要素、文化的な差異を細かく表現している作品が多くて、それは楽しかった。

とくに南アフリカ出身のオリヴァー・シュミッツ監督の「お祭り広場」が素晴らしかった。黒人移民の、「ハタラク」人間の姿が素直に描かれていて、泣きそうになってしまった。この人の作品は、他にも観てみるべきだと思った。

ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァ監督もめっちゃよかった。テクノを下敷きにしたあのスピード感が活きていて気持ち良いし、オチもいい。ナタリー・ポートマンの華やかさが映画全体を引き締めている。それから最後から二番目の「カルチェラタン」の、苦味の効いた大人の会話劇もぐっときた。主人公のおじさんが小粋な大人で素敵。この二つは、欲を言えばフランス語でセリフを撮ってほしかったなと思う。あとシルヴァン・ショメ監督はアニメーションではなく実写だったので驚いた。しかもそれがすごくアニメーション的な撮り方だったので感嘆してしまった。

こういう映画を、他の都市、例えば東京なんかでやろうとしたとき、成功するのかどうか考えている。