海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

沈黙がグラスを撫でる25時 こおりのおとの げになつかしき

空港にて (文春文庫)

空港にて (文春文庫)

何者

何者

包む (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

包む (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

おどろきの中国 (講談社現代新書)

おどろきの中国 (講談社現代新書)

短篇集 恋の罪 (岩波文庫)

短篇集 恋の罪 (岩波文庫)

聖書、シェイクスピアとギリシャ神話という偉大なる元ネタがあるから、ヨーロッパ圏の恋愛話は型が決まっていておもしろいよなあと思う。ハリウッド映画っぽくもあった(正義は意外と正される)


おとうと (新潮文庫)

おとうと (新潮文庫)

げんは弟の枕もとにいる。からっと云うのだ。からっと乾いた音がするのだ。氷嚢の氷が溶けかかると、一ツ一ツの破片は身じろぎはじめ、おたがいの氷結から、からっと音を立てて離れるのだ。離れ落ちる音なのか、離れた拍子に他の氷片にぶつかる音なのか、からっと乾いた音がする。とっさに骨(こつ)を感じさせる音なのだ。陽に曝され風に枯れた骨の、打ちあう音など誰も知りはしない。けれども氷嚢・氷枕のなかの氷の音は、その音を聯想させる音である。入院以来、げんはその音を何度聴いたか。(『おとうと』幸田文 新潮文庫 P.175-176)