海の響きを懐かしむ

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サバイバル

ロリータ (新潮文庫)

ロリータ (新潮文庫)


半分は一般的に認知されているイメージ通りで、もう半分は高度なギャグだった。いい意味でも悪い意味でも、「ロリコン」のそれとはずいぶんかけ離れていたように思う。物語のつくりとしては(ラブ)コメディだったりロードノヴェルだったりミステリだったりするのだけど、そのどの要素もなんだか中途半端に書かれていた。あと、労力3くらいで言えることを10で言ってるあたり、いかにもロシア人の書いた小説って感じだ(偏見)。無駄に分厚いしさ。


「近代」に突入以降の人間は、人々の間に見えない線を引いてきた。社会の隅々に幾層ものレイヤを施した民主主義と資本主義は、同時におとなと子どもの世界も引き裂いた。その裂け目、永遠に失われた断絶を、ある少女を通して、慈しみ愛でる男のはなし。そういうことだと思う。(私に言わせれば、彼はロリータ「を」愛していたわけじゃない。たぶんね。代替可能性がちらつかされているところが数か所あって、だからムカついているんだと思う。)


完璧に移入はできないが、後半のロリータの言動は理解できる。とにかく、どんな手を使ってでも、卑しい野郎共の元からは全力で逃げるのだ。それが、清潔さやイノセンスを捨てることとトレードオフな場合だってある。それでも飲み込まれてからじゃ遅い。自分の身体だけは守ろう。生き延びるんだ。