海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

年をとる(そして愛をしる)

わりなき恋 おおかみこどもの雨と雪 (角川文庫)


岸恵子『わりなき恋』、ちょっとすごいものを読んでしまったなと思った。60歳・70歳になって、じゅうぶんな社会的なステータスと文化的なレヴェルを備えた上でする恋、ちょっと想像を超えてた。いま80歳の岸恵子って、どういう生き方してきたのだろうと思うと同時に、これは小説であって文学ではないのかも、とも思った。それでも通俗小説と呼ぶにはあまりに崇高なのだった。

それから『おおかみこども〜』の物語、「まだあなたに何もしてあげられてない」、矢張りこの一文に尽きる。


わたしたちにできなかったこと、というのは、ヒトが生まれるよりずっと太古の海のさざなみだったり、ヘレン・ケラーがWaterと発語したことと無関係ではなくって、そういうのを日本語でむりくり掬おうとすると愛という単語にきっと行き着く。そして、愛する、というのは愛を保持することよりも、勇気を持っててばなすことのほうに、おそらく近い。(これ、わたしの貧弱な語彙では、まともな論理にするのにあと10年はかるくかかる)