海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

『きょうのできごと、十年後』

文藝 2013年 11月号 [雑誌]

文藝 2013年 11月号 [雑誌]


『きょうのできごと』の10年後の話が載っていると知り、文藝を買いに書店に走った。けいとと真紀ちゃんが、たくましく生きていてうれしかった。男性陣は、そろって情けなさに拍車がかかっているような気がしたけど、今っぽい気もした。(恐らく京大でポスドクの正道くんはどうか報われてほしい)かわちくんとちよちゃんは、予想通り別れていた。

もとの話とディテールがリンクしてるところもあって、厳密に照合しながら読めばもっと楽しいのだろう。この物語の人物たちには、日常性に裏打ちされた生を感じる。本当にかれらが生きていて、いつかどこかのパーキングエリアあたりですれ違いそうな気がしている。

映画の原作とは別に、小説と映画のキャストのポートレイトがセットになった単行本があって、それを読んだ時に、著者が「妻夫木聡演じる中沢」という第三のイメージすらも物語の一部にしてしまっていることがすごく新鮮に感じた。一般的にはよくある青春物語という構造を持ちながら、おそろしく丁寧に人物を立ち上らせる書き方が好きだったんだなということに10年経って気づいた。映画化・そして時の流れという事実すらも物語に組み込んで、彼らを生きさせる柴崎さんはすごい書き手だと改めて感じた。


あとがきに、十年後の話はあと3部で完結するとある。とても楽しみにしている。