海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

<ことば>を越える

最近genjitsuto-hiも兼ねて気になっていることのひとつがギリシャ悲劇で、いつかは踏み入れなければならない土地だったので、ちょうどいいかなって思っている。どこから手を付けようか、知っているのは「エレクトラ」くらい、しかも古代劇のほうでなくオニールの「喪服の似合うエレクトラ」だから厳密にはほとんど知らない。

だから図書館で適当に借りた山形治江さんという人の本が当たりで、うれしかった。「ギリシャ悲劇」というそっけないタイトルだが、中身は現代ギリシャの人びとと、現代に取り残された古代劇と野外劇場をめぐる楽しい読み物だった。調べると、蜷川幸雄のメデイアやエレクトラの上演台本を翻訳された方のようだ。

アーティスト・インタビュー:山形治江(ギリシャ悲劇研究家、翻訳家) | Performing Arts Network Japan

俄然興味が湧いた。(残念ながら書籍化された台本群が絶版かつ大学の図書館にも存在しないため、ひさしぶりに公立図書館に足を運ぶことにした)こういうとっかかりの掴み方は嬉しい。

以前『俳優のノート』のなかで、「リア王」上演台本の松岡和子さんという翻訳者が登場していた。必要以上に脚色をしない、素材のままの台詞の造りに山崎努が大きな信頼を寄せているという話だった。先日読んだ米原万里さんは、同時通訳ということで芝居と現場こそたがえど、翻訳という言語的挑戦をする人に変わりはない。ふたつ以上の言葉をつかい、断絶を乗り越えようとする人たちの態度には、学べるものがある気がしてきた。水村美苗氏の著作も近いうちに読むつもりだ。

ギリシャ悲劇―古代と現代のはざまで (朝日選書)

ギリシャ悲劇―古代と現代のはざまで (朝日選書)