海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

乳白色した制服の匂いにはもう飽き飽きしていたんだ。だから授業のない三学期、九月にAO受験を終えたあたしは世間的にはJKと呼ばれる日々をただ漫然と消化していた。今年の冬は暖かかった。まるでこのぬるい日々を確かめるみたいに。



「お姉ちゃん」

「ん」

「毎日そんなに大学行って、なにしてんの」

「論文書いてる」

「論文」

「あとは、なにかものつくったりとか、人と話したりとか、昼寝したりとか」

「大学で昼寝とかするんだ」

「するよ、そりゃ」

「みんな大学に泊まってるの?」

「それは人とか、環境によるよ」

「ふうん」

「なに」

「あたしね、卒業式の次の日に髪染めにいくの、もう決めてるの」

「そう」

「それでね、大学入ったら、正しく遊ぶの。堂々と表参道のパンケーキ屋に並びたい」

「ずいぶん具体的ね」

「やりたいこと、たくさんあるんだ。でもうちの学校、バイトも髪染めるのもダメでしょ?だからさ」

「いいじゃん、したいことやればいいと思うよ」

「うん」


・・・・

・・・・・・


「ねえお姉ちゃん」

「なに」

「大学に入って、大学院行って、なにか変わった?」

「そうねー」



「少しだけ歳を取ったなあ」