海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

出版と書店についての本たち

善き書店員 最近、空を見上げていない (角川文庫) 出版業界最底辺日記―エロ漫画編集者「嫌われ者の記」 (ちくま文庫) ツール・オブ・チェンジ 本の未来をつくる12の戦略



「出版」「書店」に関連する本を連続して読んだ。


装丁からして誠実さが漂っていた『善き書店員』は、前評通りすごくいい本だった。少し値段が張るけれど、世の中の人に広く読まれるべきだと思う。一気に読む本ではないと判断したので、年末年始をはさんでゆっくり読んだ。Tumblrあたりに流したいような言葉にたくさん出会ったが、そうしないでおきたい。

幾つか立ち止まり考えることがあった。まず、書店員というのは「現場」の仕事で、それは予想以上に知力と体力を伴う。でもその作業の繰り返しの中にも「創作」は存在する、例えば「棚をつくる」ということ。本が、真に出会うべき読み手に巡りあうための場作り。それは知的な営み以外の何でもない、というか、世の中「クリエイティブ」な仕事というのはすべからくそういうものなのだと思い知らされる。

本と書店を取り巻く、数字を含めた現実的な側面。それは確かに悲観的な状況かもしれないが、同時に、「書店」という球体のひとつの面でしかないこと。人と人が接する、営業、に立ち返ること。特に、恵文社一乗寺店の店長さんの考えるインターネットとの付き合い方はネットに関わる商売をする人ならみんな見ておいたほうがいいと思う。


『最近、空を見上げていない』ミシマ社のウェブマガジン
第16回 2013年 今年の一冊座談会|今月の一冊|みんなのミシマガジン
で紹介されていたのを見て、kindleで買った。罪なく明るい小説を(というか小説そのものを)久しぶりに読めてよかった。


『出版業界最底辺日記』エロ本業界では有名?らしい下請け編集者さんの日記。よくわからない用語と毒と自虐がガンガン飛び交う文体が、何かに似てるなと思ったら切込隊長のそれだった。この人たぶんすごいインテリで、読んでいる本はまともなのばっかで、今は亡き白山通り沿いのエリカで中上健次読んだり、移動中にバルザック全集読んだりしてる。


『ツール・オブ・チェンジ』
結果的にkindleで読んだが、購入自体はBinB storeからすると、EPUB版・PDF版が無料でもらえたりおまけ動画が見られたりとお得だった。アメリカのメディア事情、スポーツ専門チャンネルのESPNのネット展開あたりの話なんかは全く知らなかったので面白い。一冊の本というよりはいろんな著者による短いコラム集といった感じで、電子出版が今まさに過渡期にあることを実感する。