海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

『女たちは二度遊ぶ』

女たちは二度遊ぶ (角川文庫)

ここ半年ほど、連続してANA便に乗る機会があった。それはたまたまANAが続いただけだったのだけど、搭乗する度に機内誌「翼の王国」を読むのを楽しみにしていた。なかでも、吉田修一さんの連載エッセイは知らず知らずのうちに毎回必ず読んでいて、先月松山に行った時は真っ先にページをめくるほど楽しみな読み物になっていた。『悪人』や『横道世之介』などの作品は未体験だったけれど、小さな旅の思い出にユーモアを交えた朴訥なエッセイはどこか惹きつけられるものがあった。


それで『女たちは二度遊ぶ』を買ってみた。エッセイよりも小説のほうが、いくぶんリズムが心地よく都会的だった。なんというか変な話、一瞬自分が読み書きしたもののように感じられる瞬間というか、妙な倒錯が何度かあった。もともとのタイトルは「日本の十一人の美しい女たち」というそうで、その女たちに自分が重なるかとかそういうことではなく、各話の男と女がたたずむ”視点”になんとなく既視感があるのだった。なぜそう思うかというと、kindleでハイライトを入れた部分が、なんだか引用はてなスターみたいな軽妙さを伴っていたからなのだった。