海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

『愛と暴力の戦後とその後』

赤坂真理さんの、『東京プリズン』以降のはじめての著作。一週間かけて、読み終える。



講談社メールマガジンの連載が下敷きになっているので、幾つか目を通したこともある文章も。『東京プリズン』で進行上厳密に言及していなかった部分を、おそらく作者的にはとても丁寧に、"解説"している。『東京プリズン』の要約でも補助教材でもなく、独立した一つの著作なのだけど、やはりあの大著を補うという役割が強い。あの小説はもっと読まれていい。そのための導入本という意味合いを感じる。

もっと言うと、その前の講談社現代新書である『モテたい理由』からの3部作のように思えなくも、ない。女性誌から見た現代日本をテーマにした『モテたい理由』。そして、明治からいまへと幾重の断絶を経て連なる「近代日本」について「憲法」を通して考察した本書。それらを対にするような『東京プリズン』。そういう対照的な構図を見た。共通するのは、ある言葉を突き詰めて私情も含めいかなる意味を持つのか?その言葉のオペレーションについてわたしたちは考えたことがあるのだろうか?という問い。


Amazonで買ったけれど、先日、本屋さんで売り上げランキングの棚を覗いたら、4位に入っていて、うれしくなる。この人の本はもっと読まれるべきだ。

日本語、英語、中国語、その運用。言葉の成り立ちとそれが成す"意味"を、緊密に考えて、歴史に照らし、その近似と差分を見抜くこと。当たり前に思えるかもしれないことを、クソ真面目とも言える誠実さで取り組んでいる赤坂さんが、やっぱり好きだ。