海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

『生物にとって時間とは何か』読んだ

今の仕事、普段の蓄積がいつどんなところで役立つかわからないところがあって、大学時代に本業と無関係に受けたプロマネの講義とか、趣味で読んでたデザイン関連の知識なんかが、会社で重宝されるという場面があったりした*1。だから、濫読をがんばろう。



この本は年末年始に読んでた。


生物を説明するのに「時間」の概念を取り入れよう、そのために既存の科学に抜け落ちた視点を取り込もう、というのが著者のざっくりした主張。現代科学とダーウイン説に対して、次のように意見している。

物理学や化学などの現代科学は、物質と法則という二つの同一性を追求してきたのだ、と言って良い。

DNAという時間を抜いた同一性と、偶然と自然選択という非同一性だけで進化現象をすべて説明してしまおうというのは、余りにもリアリティーも芸もなさすぎると私は思う。


生物の進化に芸が必要なのかどうかは疑問だけど、「遺伝子の突然変異」というのは、言われてみれば確かに雑っぽい感じがする。


生物は、物質のインプットとアウトプットを繰り返して、ある時間の流れの中で「生物という状態」を「保って」いる(動的平衡)。また生物は自分に必要なすべての装置を自分自身で作り出すシステムを持っている(オートポイエーシス)。この、人間の「変わり続ける同一性」を、「ことば」でなんとか記述するために、カール・ポパーの三世界論というお話を引き合いに出している。最後にはクオリアまで出てきた。

動的平衡については、『生物と無生物のあいだ』で目にしたことがあったので、読み進めるのが楽だった。

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)


テーマ自体はすごく面白いのだけど、文章がとてもわかりにくい。難しいことを、さらにこねくりまわして難しくしている印象が否めなかった。逆に、この『生物と無生物のあいだ』の福岡伸一さんや、脳科学の池谷裕二さんの文章が、いかにわかりやすさに心を砕かれているか、よくわかる。

著者の池田清彦という人は、構造主義生物学を提唱していて、
構造主義生物学というのは、構造主義の考え方を生物学に応用しよう、という取り組みのようだ。

レヴィ=ストロースを読み直したりした。

レヴィ=ストロース講義 (平凡社ライブラリー)

レヴィ=ストロース講義 (平凡社ライブラリー)

*1:とはいっても浅い知識なので、「こんな軽い感じで使ってしまっていいのか」と思ったりするのだけれど、まあ、何もないよりはまし