海の響きを懐かしむ

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「伝え方」に心を砕くことは、邪悪なことではないのかも。(『伝わっているか?』と『アース ミュージック&エコロジーの経営学』を読んだ)

『伝わっているか?』と『アース ミュージック&エコロジー経営学』読んだ。


伝わっているか? 宣伝会議

伝わっているか? 宣伝会議


著者はコピーライターで、人に伝えたいことを伝えるための方法を、物語形式で指南している本。
10章にわたって、自分の意図、思いの伝え方が、具体的なメソッドとして易しく書いてあって、簡単に読めるし、これなら私にもできそうかも!と思えてくる。
基本の日常会話から、気持ちよく仕事を進めるために、必要なことが書いてあると思う。

特に「気持ちよく会話をする」ということが苦手だなあと思っている人は、参考にできるところが多いと思う。


「誠実」に「伝える」ということ

以前だったらこういうコミュニケーション指南本は、まず手に取らなかったと思う。気持ちを伝えるテクニック、というと、技巧に走った上っ面な感じを抱いていて、そういうものに頼るのは恥ずかしいことだと、甘えたことを思っていた。
けど、誠実であること、上手に伝えることは、もしかしてレイヤが違っていることなんじゃないか?心技体ってことばがあるけど、自分が発する言葉で人を左右できるかもなんて思うことがそもそも間違いなのかもしれない。
もにょもにょとした「素直さ」をそのまま投げ出すよりも、決められた型のもとに意思を伝えて「なんかいい感じだな」と思わせる、できるだけお互い気持ちよくいることにつとめることが、より誠実に近いような気がする。


「アース」のテレビCMに見る「伝え方」の工夫

また、中盤に、「ひらめきスロット」というメソッドが紹介されている。これは新しいアイデアを生み出すためのハウツーみたいなものなので、煮詰まった時のフックに使えるなと思った。ちょうど、直前に読んだ『アース ミュージック&エコロジー経営学』で、似たようなことが書かれている箇所があった。


アース ミュージック&エコロジーの経営学

アース ミュージック&エコロジーの経営学


こちらは、「アース ミュージック&エコロジー」を手がけるクロスカンパニー社長の経営ノウハウ本で、冒頭に宮崎あおいを起用したTVCMに関する話題がある。

テレビCMはいくつものテレビ局から毎日大量に放映されている。そんな中から「あのCMを知っている」と記憶してもらい、「CMを通じて購買にまでつなげる」ことはハードルが高い。しかし、宮崎さんはこのころ、数多くのテレビCMに出演していた。このため、「これまでどおりの宮崎あおいさん」ではブランドを覚えてもらうことができない。

そこで実際にプランをつくっていたとき、石川社長は制作を担当するCMプランナーに対して、1つだけ注文を出した。それは「見たことのない、宮崎あおいさんにしてほしい」ということだった。

その結果、出てきたのが宮崎さんに「うたいながら飛び跳ねてもらう」というアイデアだった。

(『アース ミュージック&エコロジー経営学』P.17)


余談だけれど『アース ミュージック&エコロジーの服は、高校生の頃一着だけ買ったことがある。宝塚社のminiに掲載されていたチェックのパンツで、アリスさんというモデルが着用していた。あまり色がないブランドイメージで、そのパンツも当時のお小遣いにしては高めの値段(6〜7000円)だった。

大学生になって、宮崎あおいさんがうたっているCMはたしかに印象が強くて、「あれ、アースってこんなガーリーなイメージだったっけ、なんかこれまでと違うな」と感じたのだった。

このCMなんかは、まさに「なんかいい感じ」を伝えるために心を砕いた事例だなあと思う。商品ではなくブランドを宣伝していて、それが宮崎あおいさんというメディアを通して鮮烈なイメージを受け手に与えている。


さいごに

この2冊を読んでいて、「言いたいこと」と「伝え方」はそれぞれ別の次元にあって、後者は技術、スキルなのだと気づくことができた。今すぐに全ては実践できないけれど、もう少し自分の会話のスタイルを大局的に把握して、改善できる手を1つずつ打っていきたい。コミュニケーション指南系の本は引き続き深堀りしていきたい。