読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

海の響きを懐かしむ

さみしくはない

『ホー・チ・ミン伝』

読書

ホー・チ・ミン伝 上 (岩波新書 青版 898)

ホー・チ・ミン伝 上 (岩波新書 青版 898)

ホー・チ・ミン伝 下 (岩波新書 青版 899)

ホー・チ・ミン伝 下 (岩波新書 青版 899)


ホー・チ・ミン伝』、M1の時のベトナム旅行の前後に買ったものが未読だったので読んだ。
著者はホー・チ・ミンをよく知るアメリカ人で、ところどころ個人的な思い出エピソードが挟まれているのがおもしろい。


歴史というよりも、ベトナム人の民族性に興味がある。
粘り強さ、静かなる不屈の精神みたいなもの、をホー・チ・ミンは体現している。

ホー・チ・ミンの正確には他にも何ものかがあって、他のいかなる最高の政治家にも(より人間的とみられる二人だけをあげるが)ガンディやネルーにさえもみとめがたいものである。それは、孔子が「恕(シュ)」と呼んだものである。正確にそれに呼応する言葉は、英語にはない。しいて近い言葉をあげれば、人間は皆兄弟であると自覚している二人の人間の間のあの反応という意味での”相互関係”である。ホーの本能は頭脳からというよりはむしろ、こころから発するものだったようにみえる。

奇妙に見えるのは、マルクス主義、レーニン主義スターリン主義、チトー主義はあるのに、ホー・チ・ミン主義がまるでないということである。(中略)おそらくホー・チ・ミンは、「イズム」とともに歩まない。かれがみずからを表現するものは政治的崇拝の対象というよりはむしろ、哲学的な概念である。


スーザン・ソンタグのハノイ滞在記
「ヴェトナムにおいては、誠実とか誠意は個人の威厳をつかさどる機能なのである」と書いてあったことを思い出す。