海の響きを懐かしむ

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『トルコのもう一つの顔』

トルコのもう一つの顔 (中公新書)

トルコのもう一つの顔 (中公新書)



単純な歴史の本かと思ったら、全然違った。クルド人をはじめとする、トルコに生きる少数民族とその言語について体当たり現地取材を繰り返した著者の回想録だった。この小島さんという方は言語学者(方言学者?)のようなのだけど、何者なんだろう?20年近くトルコに出入りしては、なかったことにされている言葉について調査を繰り返す。この本が出たのは92年、取材当時は80年代、まだソ連があったころ。警察や外務省といった国家権力に目をつけられて、共産主義者扱いされながらも、危険をおかして研究の旅を続ける。

私が習ってきた山川用語集的な世界史の中では、近代トルコは度重なる民族戦争の末の勝者というイメージしかない。けれども、その裏側には暗い弾圧と差別の歴史があることを知った。サルトルユダヤ人を読んだ時と同じくらい、世界の複雑さを感じている。