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海の響きを懐かしむ

さみしくはない

『雪は天からの手紙』

中谷宇吉郎という人は、物理学者で、雪の結晶を研究していた先生だそうだ。
北海道大学で、戦争をまぬがれながら低温室で顕微鏡をのぞく生活をしていたらしい。

これは科学エッセイ本で、朝永振一郎湯川秀樹らとの思い出を語っていたりするんだけれど、
エセ科学やオカルト的話題が世間に流行することについて
正直に反論しているのがおもしろかった。

千里眼や念写のうわさが流行ったり、伝説がよみがえったと言われたり
先生によれば、「こういった「熱病」の流行はその国の科学進歩の程度にはよらず
特に大戦争下にはそのおそれが濃厚であると思われる(P.166)」のだという。

そういう事象に対して、ちゃんと実験したり調べたりして
大真面目に反論しているのがすがすがしく、説教臭さがない。

焦らず立ち止まること、自分の目で視、考えること、科学への誠実な態度、
基本だけれどとても大切なことに気付かされる。
10年前くらいの自分に読ませてあげたい。


雪は天からの手紙―中谷宇吉郎エッセイ集 (岩波少年文庫)

雪は天からの手紙―中谷宇吉郎エッセイ集 (岩波少年文庫)