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海の響きを懐かしむ

さみしくはない

『春の祭典』

BSで『ベン・ハー』をやってた。
本編じたい長いし、ちょくちょく健康食品の通販のCMが入って三時間半弱だったけど
丁寧な人間ドラマがおもしろくて、ダラダラ最後まで観てしまった。


昔の映画はお金がかかっていて良い。
こういうのを、作れるときにつくっちゃおうという、GOサインを出せた時代があったことが微笑ましい。
「金のかかったご都合主義」は最高だなと思う。
複雑で小難しいものももちろん好きだけれど
歌舞伎やオペラも、プロットが単純でバカバカしくて、スパイスにちょっと悲哀がある、
そんな作品だと観終わった時の至福感が大きい。*1
言葉や宗教を超えて、たくさん人の胸を捉えるものというのは
だいたい同じフォルムをしているように思う。


そんな事を考えていたら、バレエの『春の祭典』に出会った。
クラシックでは有名な、ストラヴィンスキーの曲みたいなんだけど、全く知らなかった。
たまたま音源だけ先に聞いて、「変な曲だな、趣味じゃないな」と思っていたけど
YouTubeで映像を見てみたら、その物語にすごく惹きつけられた。


原始宗教の世界で、女性が生け贄に捧げられる話。
振付もいくつか種類があって、
内股になって小首をかしげて踊る姿がちょっと不気味なニジンスキー版、
敷き詰められた土の上で踊るピナ・バウシュ
どちらも強烈だった。


生け贄の娘が選ばれて、神に捧げられて死ぬ、
わかりやすいメロディーもなければ、身も蓋もないただそれだけのお話なのに、なんだかすごくせつない。
具体的に何がせつないのか、この正体はもっと厳密に言って何なのか、
それを1週間くらいぼんやり考え続けてる。


このせつなさと、ご都合主義感、
どちらも同じくらい大切で、世界を動かしているもののように思う。


www.youtube.com

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*1:もちろん演出や音楽などの要素もあると思うけど、全体の構成として