海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

愛はどこにある


表題曲「FANTASY CLUB」を聴くと、高校生の頃、学校帰りの東京を、フラフラと当て所無く歩いたことを思い出す。

その時イヤホンから流れてたのはスーパーカーの「Futurama」だったかな?日が暮れてゆくまでの刹那の時間に、絡みつくように流れる電子音。あの頃と同じように私はいまも孤独で、ヘッドホンを付けたまま、昼と夜が往来するのをぼんやりと眺めている。


一聴して、「FANTASY CLUB」は、愛のアルバムだと思った。


「些細な愛で」「愛しあう」「きみにあいたいな」そんな素直なフレーズが耳に残る。声高に愛を要求することも、祝福を強制することもしない。ただ、温かい部屋に招かれて、カーテンが揺れるのを見ているような感覚。そんな風に、これまで聴いてきたtofubeatsのどの曲よりも、愛が横溢しているアルバムだと感じた。


でも、その愛はどこにあって、どうやって獲得すればよいのだろう。アルバム後半、「YUUKI」の優しいボーカルに包まれていた時、ふと、通過していったはずの言葉たちが再び去来した。


「わからない」「何もない」「気にしない」――――


くだらない言葉遊びとはわかっていても、私はそこに「愛」を見てしまう。発語された言葉たちの中、たったふたつの母音が―"A-I"―不安そうな目でこちらを見つめ返している。それを見逃さずにはおれない。


「わからない」と勇気を出して言ってみること。もし、もしもFANTASY CLUBが愛に満ちた優しい部屋であるのならば、その隣にはきっと、幾つものためらいの残滓が転がっているはずなのだ。