海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

『EST+ 吉田健一原画展』

EST+

西荻窪のササユリカフェに行く。
ここは元スタジオジブリのアニメーターの方(動画チェックの舘野仁美さん)がオーナーのお店らしい。
先月からずっと、ジブリの関連資料を読んだり調べたりしているうちに、たまたま発見したのだ。


早速行ってみようと思っていたら
さらにたまたま、吉田健一さんというアニメーターの方の原画を展示する個展が催されていることを知る。
すごく盛況で、決して広くはない店内で、整理券を配り30分の入れ替え制にしているほどで
土日の昼時にも関わらず、殆ど待たずに入れてラッキーだった。


吉田さんも、90年代のジブリ作品を支えていた元スタッフの方で
代表作は『エウレカセブンガンダムの『Gのレコンギスタ』などらしい。
名前を聞いたことはあるけれど、観たことない作品ばかり。
周りの人々は熱心なファン*1ばかりで、入れ替えの列にくりかえし並んで何度も何度も見ているそうで
予備知識ゼロで来てしまったことに申し訳無さを禁じ得なかった。


展示は、本当の原画から、設定画やゲームやDVD用パッケージの下絵まで色々ある。
ちゃんとアニメを観ていたら、第何話のあのシーン!とかわかって、楽しいんだろうなあ〜。

最初何も感じなかったけど、集中して見ていると
「ああこれが絵が上手いっていうことか〜〜」とだんだん、わかってくる。
でも、何を持って上手いと思うのかも、うまく分解して言葉にすることができない。
教養の不足を感じた。。
例えば西洋絵画を観る時と比べると、必要なボキャブラリーがだいぶちがう。
線から、描かれた対象の動きや背景を想像する力が足りないのかな?


それから、女の子がカワイイ。
笑ったり、泣いたり、激高したり、身振り手振りや表情がどれも魅力的で、つい見入ってしまう。
アニメーションは人が一枚一枚手で描いて、それを動かしているんだ・・・という
当たり前のことが、すごいなあ。。とただただ感服するばかり。


前に西荻窪に来た時も、ビリヤード場を貸し切った謎の読書イベントが行われていたり
なかなかサブカルディープだった。
ふつうの商店街っぽいのに、ぽつぽつと面白い場所がある印象。

*1:オタクでもマニアでもなく「熱心なファン」という形容がしっくりくる。その筋の学生も多かったように思う。

『ホー・チ・ミン伝』

ホー・チ・ミン伝 上 (岩波新書 青版 898)

ホー・チ・ミン伝 上 (岩波新書 青版 898)

ホー・チ・ミン伝 下 (岩波新書 青版 899)

ホー・チ・ミン伝 下 (岩波新書 青版 899)


ホー・チ・ミン伝』、M1の時のベトナム旅行の前後に買ったものが未読だったので読んだ。
著者はホー・チ・ミンをよく知るアメリカ人で、ところどころ個人的な思い出エピソードが挟まれているのがおもしろい。


歴史というよりも、ベトナム人の民族性に興味がある。
粘り強さ、静かなる不屈の精神みたいなもの、をホー・チ・ミンは体現している。

ホー・チ・ミンの正確には他にも何ものかがあって、他のいかなる最高の政治家にも(より人間的とみられる二人だけをあげるが)ガンディやネルーにさえもみとめがたいものである。それは、孔子が「恕(シュ)」と呼んだものである。正確にそれに呼応する言葉は、英語にはない。しいて近い言葉をあげれば、人間は皆兄弟であると自覚している二人の人間の間のあの反応という意味での”相互関係”である。ホーの本能は頭脳からというよりはむしろ、こころから発するものだったようにみえる。

奇妙に見えるのは、マルクス主義、レーニン主義スターリン主義、チトー主義はあるのに、ホー・チ・ミン主義がまるでないということである。(中略)おそらくホー・チ・ミンは、「イズム」とともに歩まない。かれがみずからを表現するものは政治的崇拝の対象というよりはむしろ、哲学的な概念である。


スーザン・ソンタグのハノイ滞在記
「ヴェトナムにおいては、誠実とか誠意は個人の威厳をつかさどる機能なのである」と書いてあったことを思い出す。