海の響きを懐かしむ

観たもの聴いたもの読んだものの記録と、日記など

最近買った本

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最近は同人誌やZINEなどを読んでいて、商業本は読んでいません。
「名作」と言われるものを読むより、現在進行系で社会の人がどう考え、何を感じてるか知りたいという欲が強い。


光と私語

「いぬのせなか座」という文学集団がつくっている歌集。
いぬのせなか座さんは去年存在を知ったのだけど、実際手にとったことはなくて、どういうものをつくっている人たちなんだろうと気になっていた。年末に笠井康平さんというグループの方の本『私的なものへの配慮 NO.3』を買って、そのスタイルに衝撃を受けた。文章と装丁(エディトリアル?)が渾然一体となっていて、こちらのページをめくる行為すら意図してデザインされているような、本というよりインタラクティブアートのような、そういう読書体験の本で、今回の歌集『光と私語』も同じように感じた。そして美しい本。プラスティックのカバーがきらきら光を反射するように言葉も光を放っている。

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カラマーゾフの犬

海外文学同人というマイナーなジャンルで、他にどういう人達がいるのだろうと調べたところ、ドストエフスキー同人は盛り上がっていることを知る。この本は『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』といった作品の二次創作まんがや小説でできていて、作家への愛が強いとここまでできるのか、という熱量に圧倒されてしまう。巻頭言の「没後一世紀経っていると沼に嵌っても新刊が出ない」「他人のカラマーゾフ二期に頼るな」といったワードもパンチが効いていて最高だと思う。ドストエフスキーへの情熱にあふれている。

ただ、同じことを例えばヴァージニア・ウルフでできるかというと、わからない。思うにドストエフスキーの小説は、キャラが立っているから、二次創作しやすというのはありそう。それに作品もたくさんあるので間口が広そう。ウルフは、できなくもないが、話の筋などあってないような作家なので(人間の思考の描写の素晴らしさの人だから)、キャラで二次創作するのは限られそう。やれても面白いのは『オーランドー』『ダロウェイ夫人』あたりではないか。

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わたしたちの午前三時

昨年刊行された『ヒロインズ』という翻訳本があり、これはその感想が集められたZINE。『ヒロインズ』は、平たく言うと20世紀のモダニズム女性作家を取り上げ、彼女たちが社会や夫の抑圧にいかに遭ってきたかということを切々と語った本。文学の告発といったスタンス。この本では女性が書くことについて強烈なエンパワーメントをしてくれるのだが、このZINEもそういった力でできている。

『ヒロインズ』のなかでは、ゼルダフィッツジェラルドや、ヴィヴィアン・エリオットといった「作家の妻」たちに光が当てられる。彼女たちが自分の欲求やかなえたい夢とは裏腹に、その言葉や生き方が、いかに男たちに搾取されてきたかがかなりのページを割いて語られている。本には書かれていないが、例えば日本だと太宰治太田治子という愛人の日記をほぼパクって『斜陽』を書いたことは有名だ。(しかもそのあと太田は太宰と別れ、太宰は別の女のもとへ行ってしまう。)『ヒロインズ』を読んでいると、対岸の火事ではないと感じる。

私は日々の暮らしの中で男女差別に遭ったり、男性に抑圧されていると感じることはほぼないが、それでも男性的な発想に自分で自分を縛っているところはあると思う。もっと自由にものを感じたり、書いたりしていい。

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ドミナントストーリー -わたしは男の子-

『ヒロインズ』の表紙画を描かれたカナイフユキさんのZINE。テーマは「安定的なセルフイメージを手に入れられないこと」ということで、一言で感想を表現するのが難しい。何度も読んで考えていきたい。

また、少し前までZINEという言葉にアレルギーを持っていたが、こういった形容をされる表現も悪くないなと思えるようになった。同人誌というとレトロな感じで、それがいいのだが、ZINEと言うことで届かなかった人にも届くというのがあると思う。ウルフ本は同人誌でありファンジンである。

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