海の響きを懐かしむ

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「君の名前で僕を呼んで」字幕版と吹替版の感想

映画「君の名前で僕を呼んで」字幕版と吹替版、両方観たので感想を書きます。
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↑このチラシ、自分はBunkamuraでゲットしました。うっとり・・・

どんな映画か

「モーリス」「日の名残り」のジェイムズ・アイヴォリーが、脚色を手がけ、アカデミー賞を獲った作品です。ミニシアター系では、公開前から話題になってました。

これは、若いふたりの男の子の、一夏の恋物語です。でもキャッチコピーやチラシ、予告では「ゲイ」「LGBT」という言葉は一切使われていません。

この傾向は、「アデル、ブルーは熱い色」「キャロル」「ムーンライト」といった、比較的最近の映画宣伝と同様に感じます。
あくまで青春と恋愛の映画であると謳われているのです。

よかったところ(字幕版)

舞台は1983年、北イタリアのとある街で、海と自然がとてもきれいなところです。

光あふれる色彩を捉えた映像、余計なセリフのない脚本、なにより主演の少年ティモシー・シャラメの繊細な演技が素晴らしい作品でした。

字幕版では、まず撮影と音楽の美しさに目を惹かれました。

デジタル上映だけれど、フィルム版があったらぜひ観たい。そう思わずにはいられないほど、眩しい青春の光を閉じ込めたような撮影に感動しました。

彼らの日常を彩るのはピアノ音楽で、古今東西のピアノ楽曲がイタリアの風景に注がれます。少しネタバレですが、物語序盤で、坂本龍一のとある曲が流れてきたのには、センスの良さにクラクラしました。

予告でも使われている主題歌も素晴らしい。スフィアン・スティーブンスの「Mystery of Love」。

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よかったところ(吹替版)

2回も観るつもりはなかったのですが、吹替版があると知り、しかも主人公の声を入野自由さんが演じているということで、気になって観に行ってきました。

自分は声優さんは超有名な方しか知りませんが、上手な人が演じる吹替版は、良いものだと思います。
文字を追わない分、役者の細かい表情や仕草、微妙に変化する色彩、にぜいたくに注目できるからです。
そういった意味では、「君の名前で僕を呼んで」の吹替は、十分素晴らしいものでした。

青春物語で、登場人物も若い人が多いので、一部、Eテレで夕方やってるような学園ドラマの吹替みたいになってましたが・・・まあそれはそれで味があった。

よくできているなと感じたのは、何でもかんでも吹替声優の声に置き換えているわけじゃなかったことです。

けっこう際どいシーン、濡れ場とか、キスシーンの漏れる吐息とか、そういう場面は、ちゃんと本当の役者の声を使っているように思いました。
吹替ならではの大げさな台詞回しがありつつ、濃密なシーンは見守るように音声を入れていない。

最近の吹替の技術レベルは上がっているのかもしれません。「フルハウス」みたいな世界を想像すると、だいぶ洗練されている気がしました。

予習・復習に役立った作品

本作が上映される前、いくつかの映画館で青春映画をテーマにした特集上映が組まれていました。
そこで観て、良かった作品を紹介します。

モーリス

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「君の名前」脚色の、ジェイムズ・アイヴォリーによる監督作品。
若きヒュー・グラントが美青年過ぎて、本気で狂いそうになりました。
19−20世紀の英国上流階級が舞台なので、当然同性愛はタブー視されており、主人公はそのことに悩みます。

けれど「君の名前で僕を呼んで」の人物たちは、男同士で愛し合うことに何の疑問も持ちません(少くとも自分にはそう見えた)相手が男だから、ではなく、素敵な人だから。これが刹那の青春と知っているから。相手を人間として、想い、悩み苦しんでいる。

そこが、「モーリス」の時代と大きく異なる点であり、最も興味深いところと感じました。


永遠の僕たち

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ガス・ヴァン・サントの2011年監督作品。「君の名前〜」と同じく、スフィアン・スティーヴンスの楽曲がフィーチャーされています。

死を宣告された少女と、少年のよくあるボーイ・ミーツ・ガールですが、それだけではなく、何故か加瀬亮が出演しています。その彼の演技が素晴らしいです。
個人的には、日本のドラマ(SPECとか)に出ている加瀬亮よりもずっと良かったです。

さいごに

多くの人は字幕版をご覧になると思いますが、吹替版のクオリティもなかなかのものでした。
2回目を観ようと思っている人はぜひ、「アニメ声優?」と尻込みせずに、吹替版も観てほしいなと思います。
何度も発見がある映画です。